P/L(損益計算書)の見方
こちらの表が損益計算書でProfit and Loss Statementを略して通称P/Lと呼ばれています。
画像の表は個人のP/Lになりますが、法人にお出しする場合には「売上総損益」が「売上総損益金額」に「差引金額」が「営業損益金額」、「控除前金額」が「税引前当期純損益金額」になったりと変化しますが、見方としては概ね同様です。
売上高から支払利息まで勘定科目が羅列されています。赤系や青系に塗られている項目を見て下さい。
売上高
営んでいる本業の収入の集まりです。
画像は個人の損益計算書ですが、法人においても大きな違いははありません。言葉は違いますが見る場所は概ね同じです。
まず売上高ですが、入金=売上高(現金主義といいます)とは考えません。
商品を販売し、納品を完了したとき。役務(サービス)を提供し、その提供が完了したとき等が売上認識のタイミング(実現主義といいます)となります。
お金を貰ったか貰ってないかを基準とせず、商品を渡したり役務の提供が完了した時に売上高として認識します。現金主義の場合でしたら認識しない売上も実現主義ではツケで商品を販売したと考え、勘定科目としては売掛金として記帳し残高を集計します。
納品書や請求書の控え等を毎月同封していただくのは、この売上の事実を判定する為です。
期間中の記帳は現金主義で行い、個人でしたら12月31日、法人でしたら期末に前期と今期の実現主義の数字を拾う方法もありますが、この場合には期間中の損益計算が正しく把握できないのでオススメしません。やるからには営業成績はキッチリ把握すべきと思います。
仕入高
販売する商品を仕入れた際に使う勘定科目です。
外注仕入は、例えばHPを作成する事業を営んでおり、そのHP作成の一部を他の者に依頼した場合に支払った経費等を言います。
仕入に関してもお金を支払った事実を基準とはしません。売上の取扱いと同様(発生主義といいます)です。
売上原価
売上原価の算定は昨年度末12月31日(法人であれば前期の期末)の商品残高と、本年度12月31日(法人であれば今期期末)の商品残高を本年度(法人では今期)の仕入高に加減算して算出します。
いわゆる棚卸しの数字です。
前年度12月31日(法人であれば前期期末)の商品残高
本年度(法人であれば今期)の商品仕入金額
本年度12月31日(法人であれば今期期末)の商品残高
この計算を行うことで、売上に対応する仕入商品の数字が明らかになり、その年(法人であればその期)の売上原価が決まります。
この売上原価は営む事業により大きく変動します。
従って、どれくらいが適正ですか?と聞かれても難しいところではあります。
飲食業などは30%と言ったりしますが、あくまでも目標として考え、とらわれ過ぎない方が良い場合もあります。
それでも40%を超えてくるようであれば飲食店の場合は改善が必要なケースが多いです。
売上総損益
売上高から売上原価を差し引くことで売上総損益(粗利)を算出します。
粗利はできる限り正確に把握したいので、売上は実現主義、仕入は発生主義で基本的に記帳します。粗利の数字を把握するに越したことはありません。ご面倒ですがご協力お願いします。
稀ではありますがこの利益が赤字の会社もあります。そうなった場合は早急に手を打つ必要があります。
販売費・一般管理費
このサンプルの租税公課からリース料までを販管費と言ったりします。こちらはサンプル事業になりますので、通常私の記帳では使用しない科目も含まれています。足りない科目は雑費だけかな。並びも私は人件費を上段の方に持ってきますね。
販売費・一般管理費は商品やサービスに直関係がない経費で売上原価を構成しないもの、販売員の給料や、店舗の家賃、販売する為に要した消耗品や交通費等が考えられます。
独自に参考にしたい経費等があればお伝えください。ガソリンが重要な経費であれば消耗品に含めずに燃料費として別科目を使用して、一目で判別できるように対応させていただきます。
販売費・一般管理費の発生主義による記帳はお客様にお決めいただきます。ただし年度末12月31日(法人の場合は期末)だけは発生主義で記帳します。
次の年の1/1以降に実際に支払う経費のうち、12/31に発生主義で記帳した金額が含まれている場合にはこれを差引いて計上します。
差引金額(営業利益)
売上総損益から本業に直接的な関係のある経費(販売費・一般管理費)を差引いた値が差引金額(営業利益)です。
売上総損益同様に本業に係る給料や家賃などの経費を差し引いた数字ですので売上総損益同様に重要度の高いものになります。
売上総損益は前年度(法人では前期)と変化ないのに差引金額(営業利益)が少なくなっているようであれば、販売費・一般管理費の項目で多額な数字があるかもしれません。2年目以降(法人では2期)は前期との対比表も作成できますので、前年度との違いを把握するのに役立ちます。
営業外収益と営業外費用
法人では営業外活動として集計されます。雑収入や支払利息などは毎年経常的に発生するが、主たる事業と直接的なかかわりのないものの集まり、という事で営業外として集計するわけです。
まず最初につかまえる数字は
とにかく売上総損益と差引金額(営業利益)を毎回見るようにしてください。
前回のP/Lから比べて増えている、減っているだけでも結構です。
慣れてくれば様々な数字を見てください。
徐々に頭に入ってくると思います。
知っている ことと 知っていない ことは大きく違います。
知っている ようになれば不安要素も減り、事業がもっと楽しくなりますよ。